さて、この「穴」であるが「急須の蓋の穴」のことであり、これ非常に気になって仕様がなくその都度に実験等を行っている。
問題なのはその「穴の位置」である。
煎茶道の作法、陶器を扱っておられる方々にとっては当たり前だろうがこの位置というのは急須の注ぎ口側に向けるというのが「決まり」というか「作法」らしい。
「急須の蓋の穴」は急須内の空気を逃がす穴であるが、この穴の位置でお茶の注ぎ具合がかなり変わる。
当然ながらお茶を注ぐには急須を傾けるのであるから、この穴を注ぎ口を向けていると一煎目は茶葉が膨らみきっていないので問題はない。
しかし、茶葉が水分を吸収して膨らみを増すにつれ急須の種類にもよるが「蓋の穴」が湯と茶葉で塞がれてしまい、お茶の出が悪いので急須を大きく傾けることによって蓋の隙間からお茶が溢れ出し、これが「尻引き」の原因になる。
煎茶道などの「作法」ではそこまで急須を傾けないであろうし、湯の量も少量であるのでさほど気になるものではないであろう。
そこで急須の蓋の穴は注ぎ口に向けるのではなく、正反対の位置にすると問題があるのだろうかという問題が浮上したので実験するに「特に問題はない」のであるが、土瓶など持ち手が急須の注ぎ口からそのまま後方に跨いでいるものは熱い湯気が持っている手にかかり火傷の原因になるやもしれんので注意が必要である。
「作法」と「実用の所作」というのには少し隔たりがある気がするが、ここは中庸をとって急須の注ぎ口を時計の十二時に例えるならば、一煎目は十二時位置、二煎目以降は六時位置にするというのが適当なのではないだろうかと考えた。
流石に穴だけあって「深い」ものである。