普段、お茶を淹れていて感じられる香気は「ジャスミン」などのお花系の香気、もちろん青葉のような香り、柑橘系の香りなど様々であるが自分がここで書きたいことはそういう「化学的」な事柄ではなく「お茶の楽しみ」であって「ほんならなんで冒頭で難しげに書いたんや」と問われれば「お茶の香りって複雑やん…」ということを説明したかったのであり、それでまた文章が長くなって読むのを途中で止めてしまう人が続出というか「続出」するほどの読者もおらずであるから好きに書したいと思う。
要は「お茶請け」である。
煎茶だけ淹れて飲んでもよいけれども美味しい「お茶請け」があればお茶の時間はより豊かになるのでありこれは重要なのである。
ある日の夕刻、煎茶を淹れようと湯を沸かしながら「昨日メロンもらった」という記憶が頭脳の片隅から零れ落ち冷蔵庫からその三日月状にカットされた「メロン」をテーブルへ運んだ。
甘い「麝香」の香り、このマスクメロン(ムスクが正解か)も不思議なことに植物でありながら「動物系」の香りがする野菜、栄養学上では「果物」である。
急須に茶葉、冷ました湯を入れて抽出している間に自分はメロンに齧りついた。
口腔から鼻腔に抜けるムスク、甘くやわらかい食感、舌に微小のピリリとした刺激なんかもあり「メロン、ええやん」とか呟いているとよい時間になり、湯のみに茶を注ぐと今度は茶の「複雑な香気」が立ち上ってくる。
先程のムスクの残り香、余韻が残る中で煎茶をひと口ほど舌の上に広げてみると相反するかと思われた「香気」が交じり合い重なり合って鼻腔から抜けてゆく。
「おお……」とオッサンは一人、台所で或いはキッチンで呻いた。
このメロンの香気と煎茶の香気はもちろん違う方向からゆっくりと立ち登り、そして「ある場所」でヒューズ(融合)する。
自分はこんなセクシーな煎茶、もとい「セクスィーな煎茶」は初めての経験であった。
これは個人的な一例であり必ずしも誰もがセクシー煎茶を体験できるものではないとは思いますが興味のある方は是非お試しあれ。
巷では「抹茶×ビール」なども流行ってきているようであり日本中でお茶のブームが再来することを願いつつ筆を置き、窓の外では紅葉した柿の葉が揺れて落ちてはらり。
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