2015年2月4日水曜日

節分の福茶


大晦日や正月、あるいは節分といった季節の変わり目に、
無病息災を祈念して飲む縁起物、「福茶(ふくちゃ)」。

天暦5年(951年)、京の都で疫病が流行った時、
村上天皇から悪疫退散を命じられた六波羅密寺の空也上人が、
街頭で祈願しながら、台車に積んだ茶に梅干しを入れて振る舞ったところ沈静化した。
…という功徳にあやかり、宮中で元旦と節分に茶を服するようになった。
後に庶民が、その「皇服茶」、「王服茶」をならうようになったのが、
「大福茶」、「福茶」の始まりだとか。

「後に」というのが、具体的にいつの時代かは分からないが、
梅干しや昆布、豆(黒豆、炒り大豆)といった素材を入れるスタイルになったのは、
煎茶が生まれ、現代に近い茶が庶民に広まった江戸時代ではないか。

まめまめしく働くから、「豆」。
よろこぶにかけた「昆布」。
松竹梅のめでたさとかけて「梅」。

と、洒落が利いているあたり、何となくそうなのではないかと思う。

節分の「福茶」には、豆まき用の豆(福豆)を吉数である「三」つ入れる。
いつ、どこで、誰が言い出したのかは分からないが、
「年齢の数(または、年齢+1個)の豆を食べるのと同じだけ効果がある」
と、(ある意味、経済的な?)都合の良い効用を加えた人は、えらいなあと思う。

「福茶」の味わい方も地方によって色々あるようで、
静岡県・袋井市には、三粒の豆を茶釜に入れて、
家族のうち杓でこの豆をすくった人が、幸運に恵まれるといった
「遊び」のような云われがあるそうな。

炒り豆、梅干し、昆布はおろか、お茶すら置いていないという家庭は多いだろうが、
季節の変わり目に、どこかイベントめいた趣きを持たせた茶の習慣は、
どうにか残していけたらなあと感じた次第。

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